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スキーマとフィールド

Schema はドキュメントの構造を定義します。どのフィールドが存在し、各フィールドがどのようにインデクシングされるかを指定します。Schema は Engine にとって唯一の情報源です。

CLI で使用される TOML ファイル形式については、スキーマフォーマットリファレンスを参照してください。

Schema

Schema は名前付きフィールドのコレクションです。各フィールドはLexical フィールド(キーワード検索用)または Vector フィールド(類似度検索用)のいずれかです。

#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::Schema;
use laurus::lexical::TextOption;
use laurus::lexical::core::field::IntegerOption;
use laurus::vector::HnswOption;

let schema = Schema::builder()
    .add_text_field("title", TextOption::default())
    .add_text_field("body", TextOption::default())
    .add_integer_field("year", IntegerOption::default())
    .add_hnsw_field("embedding", HnswOption::default())
    .add_default_field("body")
    .build();
}

デフォルトフィールド

add_default_field() は、クエリがフィールド名を明示的に指定しない場合に検索対象となるフィールドを指定します。これは Query DSL パーサーで使用されます。

フィールドタイプ

graph TB
    FO["FieldOption"]

    FO --> T["Text"]
    FO --> I["Integer"]
    FO --> FL["Float"]
    FO --> B["Boolean"]
    FO --> DT["DateTime"]
    FO --> G["Geo"]
    FO --> G3["Geo3d"]
    FO --> BY["Bytes"]

    FO --> FLAT["Flat"]
    FO --> HNSW["HNSW"]
    FO --> IVF["IVF"]

Lexical フィールド

Lexical フィールドは転置インデックス(Inverted Index)を使用してインデクシングされ、キーワードベースのクエリをサポートします。

タイプRust 型SchemaBuilder メソッド説明
TextTextOptionadd_text_field()全文検索可能。Analyzer によりトークン化される
IntegerIntegerOptionadd_integer_field()64 ビット符号付き整数。範囲クエリをサポート
FloatFloatOptionadd_float_field()64 ビット浮動小数点数。範囲クエリをサポート
BooleanBooleanOptionadd_boolean_field()true / false
DateTimeDateTimeOptionadd_datetime_field()UTC タイムスタンプ。範囲クエリをサポート
GeoGeoOptionadd_geo_field()緯度/経度のペア。半径検索とバウンディングボックスクエリをサポート
Geo3dGeo3dOptionadd_geo3d_field()3D ECEF 直交座標ポイント(x, y, z、メートル)。3D 距離検索・バウンディングボックス・k-NN クエリをサポート。詳細は 3D 地理検索 を参照
BytesBytesOptionadd_bytes_field()バイナリデータ

Text フィールドオプション

TextOption はテキストのインデクシング方法を制御します。

#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::lexical::TextOption;

// Default: indexed + stored + term vectors + doc values (all true)
let opt = TextOption::default();

// Customize
let opt = TextOption::default()
    .indexed(true)
    .stored(true)
    .multi_valued(false)
    .position_increment_gap(100)
    .term_vectors(true)
    .doc_values(true);
}
オプションデフォルト説明
indexedtrueフィールドが検索可能かどうか
storedtrue元の値が取得用に保存されるかどうか
multi_valuedfalse文字列の配列を受け付けるかどうか(Issue #1175)。term クエリはいずれかの要素がタームを含めばマッチ。詳細は後述の「多値(multi-valued)フィールド」を参照
position_increment_gap100多値フィールドの要素間で読み飛ばす位置数(Lucene の positionIncrementGap)。slop がこの値に達しない限り、フレーズクエリが 2 つの要素をまたぐことはない。0 にすると要素を連結したものとして位置を付番する。multi_valued が true でなければ無視される
term_vectorstrueターム位置が保存されるかどうか。2 語以上のフレーズクエリとスパンクエリが使用し、false のフィールドにこれらを実行する検索はクエリエラーで拒否される。Term クエリ(1 トークンに解析される引用符付きの値を含む)は使用せず、ハイライトは常に保存済みテキストを再トークナイズする
doc_valuestrue値を DocValues(ソート・ファセット・集計が読み取る列指向ストア)にもコピーするかどうか

doc_values は TextOption 専用ではありません。BytesOption を除く全ての lexical フィールドオプション(IntegerOption, FloatOption, BooleanOption, DateTimeOption, GeoOption, Geo3dOption)が同じ設定を持ちます。BytesOption にはこの設定がありません ―― Bytes の値はソートにもファセットにも使えないため、設定にかかわらず DocValues には 一切書き込まれないからです。実効ルールは次のとおりです: DocValues 列が書き込まれるのは stored と doc_values の両方が true(かつ値の型が Bytes でない)場合のみです。 ソートにもファセットにも使わないフィールドで doc_values: false を設定すると、二重目の コピーを省略できるため、セグメントの使用容量が削減されます。

Vector フィールド

Vector フィールドは近似最近傍(ANN: Approximate Nearest Neighbor)検索のためのベクトルインデックスを使用してインデクシングされます。

タイプRust 型SchemaBuilder メソッド説明
FlatFlatOptionadd_flat_field()ブルートフォース線形スキャン。正確な結果
HNSWHnswOptionadd_hnsw_field()Hierarchical Navigable Small World グラフ。高速な近似検索
IVFIvfOptionadd_ivf_field()Inverted File Index。クラスタベースの近似検索

HNSW フィールドオプション(最も一般的)

#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::vector::HnswOption;
use laurus::vector::core::distance::DistanceMetric;
use laurus::vector::core::quantization::QuantizationMethod;

let opt = HnswOption {
    dimension: 384,                                  // vector dimensions
    distance: DistanceMetric::Cosine,                // distance metric
    m: 16,                                           // max connections per layer
    ef_construction: 200,                            // construction search width
    default_ef_search: Some(100),                    // schema-level ef_search default (issue #644)
    base_weight: 1.0,                                // 他の vector フィールドに対する相対的な優先度(issue #1084)
    quantizer: QuantizationMethod::Scalar8Bit,       // 必須(デフォルト Scalar8Bit)
    embedder: None,                                  // 任意の embedder 名
};
}

default_ef_search: 検索時の recall 調整パラメータ

ef_search はクエリ時の動的候補リストのサイズを制御するパラメータです(ef_construction がインデックスビルド時にだけ影響するのとは別物です)。値を大きくするほどグラフ近傍の探索範囲が広がり、レイテンシと引き換えに recall が上がります。

  • スキーマレベルのデフォルト: HnswOption.default_ef_search = Some(ef) でフィールドごとのデフォルトを引き上げられます。None の場合、サーチャは内部 fallback (50) を使用します。
  • クエリごとのオーバーライド: 検索リクエスト側で SearchRequestBuilder::vector_ef_search を指定すると、スキーマデフォルトより優先されます。
  • 自動引き上げ: いずれの経路で ef_search を指定した場合でも、サーチャは少なくとも top_k(rerank_factor 併用時は top_k * rerank_factor)まで持ち上げるため、top_k 要求に対して候補ヒープが不足することはありません。
  • Issue #644 で対応。

パラメータの詳細なガイダンスについては、Vector インデクシングを参照してください。

MultiVector フィールド

MultiVector フィールドは、文書のトークンベクトルをすべて保持します。たとえば ColBERT 型の late interaction モデルが出力するトークンごとの埋め込み(1 パッセージあたり 128 次元のベクトルが 100〜300 本程度)です。ANN 索引は持ちません。ベクトル検索の対象には ならず、別のクエリ(lexical・vector・hybrid)が見つけた候補を再採点するときにだけ読まれます。

型Rust 型SchemaBuilder メソッド説明
MultiVectorMultiVectorOptionadd_multi_vector_field()late interaction の再採点に使う、文書ごとのトークンベクトル。検索対象ではない
#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::{MultiVectorOption, Schema};
use laurus::vector::core::distance::DistanceMetric;

let schema = Schema::builder()
    .add_multi_vector_field(
        "body_colbert",
        MultiVectorOption::new(128).distance(DistanceMetric::Cosine), // Cosine(既定)または DotProduct
    )
    .build();
}
  • オプション: dimension(各トークンベクトルの長さ)、distance、storage、 embedder。distance として受け付けるのは Cosine(書き込み時に L2 正規化 するので、類似度は内積になる。ゼロベクトルはそのまま保存する)と DotProduct だけで、それ以外はインデックスの作成時に拒否されます。storage は各トークン ベクトルのディスク上での要素形式を選びます — F32(デフォルト、厳密)、 F16、Int8 のいずれかで、精度とインデックスサイズのトレードオフです。 サイズと誤差の数値は MultiVector ストレージを参照してください。 embedder には、candle_colbert のようなトークン単位の Embedder の名前を指定します (MultiVectorOption::new(96).embedder("colbert"))。
  • 値: DataValue::VectorArray(Vec<Vec<f32>>)。1 本以上 8,192 本以下で、各ベクトルは フィールドの次元を持ち、有限値でなければなりません。JSON では、同じ長さの数値配列の 配列([[0.1, 0.2, ...], [0.3, 0.4, ...]])です。トークン単位の Embedder がこの フィールドを担当している場合(embedder で指定するか、EngineBuilder::embedder で登録する)は、テキストの値も使えます。テキストは文書のインデックス時にトークン ベクトルへ埋め込まれます(Issue #1349)。そのような Embedder がないフィールドに テキストを与えた文書は拒否されます。
  • 保存しない: トークンベクトルはベクトル索引にだけ置きます(300 本 × 128 次元の f32 で 1 文書約 150 KB)。そのため get_documents や検索結果には含まれません。
  • 検索できない: フィールド指定なしのベクトル検索と prefix のフィールド指定は、この フィールドを対象にしません。ベクトル検索や DSL でこのフィールドを指定するとエラーです。
  • スキーマの変更: 次元・距離・Embedder の変更、他のベクトルフィールド型との 相互変更は、破壊的な変更(Destructive)です。storage の変更は Reindex 扱いです。既存の値から再エンコードできるため、 Engine::update_field(.., UpdateFieldOptions { reindex: true, .. }) でフィールドの既存セグメントを新しいディスク上の形式へ再構築します。

Document

Document は名前付きフィールド値のコレクションです。DocumentBuilder を使用してドキュメントを構築します。

#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::Document;

let doc = Document::builder()
    .add_text("title", "Introduction to Rust")
    .add_text("body", "Rust is a systems programming language.")
    .add_integer("year", 2024)
    .add_float("rating", 4.8)
    .add_boolean("published", true)
    .build();
}

ドキュメントのインデクシング

Engine はドキュメントを追加するための 2 つのメソッドを提供しており、それぞれ異なるセマンティクスを持ちます。

メソッド動作ユースケース
put_document(id, doc)Upsert — 同じ ID のドキュメントが存在する場合、置き換えられる標準的なドキュメントインデクシング
add_document(id, doc)Append — 新しいチャンクとしてドキュメントを追加。同じ ID で複数のチャンクを持てるチャンク分割されたドキュメント(例: 段落に分割された長い記事)
#![allow(unused)]
fn main() {
// Upsert: replaces any existing document with id "doc1"
engine.put_document("doc1", doc).await?;

// Append: adds another chunk under the same id "doc1"
engine.add_document("doc1", chunk2).await?;

// Always commit after indexing
engine.commit().await?;
}

ドキュメントの取得

get_documents を使用して、外部 ID でドキュメント(チャンクを含む)を取得します。

#![allow(unused)]
fn main() {
let docs = engine.get_documents("doc1").await?;
for doc in &docs {
    if let Some(title) = doc.get("title") {
        println!("Title: {:?}", title);
    }
}
}

ドキュメントの削除

外部 ID を共有するすべてのドキュメントとチャンクを削除します。

#![allow(unused)]
fn main() {
engine.delete_documents("doc1").await?;
engine.commit().await?;
}

ドキュメントのライフサイクル

graph LR
    A["Build Document"] --> B["put/add_document()"]
    B --> C["WAL"]
    C --> D["commit()"]
    D --> E["Searchable"]
    E --> F["get_documents()"]
    E --> G["delete_documents()"]

重要: ドキュメントは commit() が呼び出されるまで検索可能になりません。

DocumentBuilder メソッド

メソッド値の型説明
add_text(name, value)Stringテキストフィールドを追加
add_integer(name, value)i64整数フィールドを追加
add_float(name, value)f64浮動小数点数フィールドを追加
add_boolean(name, value)boolブールフィールドを追加
add_datetime(name, value)DateTime<Utc>日時フィールドを追加
add_vector(name, value)Vec<f32>事前計算済みベクトルフィールドを追加
add_geo(name, lat, lon)(f64, f64)2D 地理座標フィールドを追加(WGS84)
add_geo_ecef(name, x, y, z)(f64, f64, f64)3D ECEF 直交座標ポイントを追加(メートル)
add_bytes(name, data)Vec<u8>バイナリデータを追加
add_bytes_array(name, values)Vec<(Vec<u8>, Option<String>)>多値バイナリフィールドを追加。各要素が独自の任意 MIME タイプを持つ
add_vector_array(name, vectors)Vec<Vec<f32>>MultiVector フィールドのトークンベクトルを追加
add_field(name, value)DataValue任意の値型を追加

DataValue

DataValue は Laurus におけるフィールド値を表す統合列挙型です。

#![allow(unused)]
fn main() {
pub enum DataValue {
    Null,
    Bool(bool),
    Int64(i64),
    Float64(f64),
    Text(String),
    Bytes(Vec<u8>, Option<String>),  // (data, optional MIME type)
    Vector(Vec<f32>),
    DateTime(DateTime<Utc>),
    Geo(GeoPoint),                   // 2D WGS84 ポイント (latitude, longitude)
    GeoEcef(GeoEcefPoint),           // 3D ECEF 直交座標ポイント (x, y, z)、メートル
    Int64Array(Vec<i64>),            // 多値整数フィールド
    Float64Array(Vec<f64>),          // 多値浮動小数点フィールド
    GeoArray(Vec<GeoPoint>),         // 多値 2D 地理フィールド
    GeoEcefArray(Vec<GeoEcefPoint>), // 多値 3D ECEF フィールド
    DateTimeArray(Vec<DateTime<Utc>>), // 多値日時フィールド
    BoolArray(Vec<bool>),            // 多値ブールフィールド
    TextArray(Vec<String>),          // 多値テキストフィールド
    BytesArray(Vec<(Vec<u8>, Option<String>)>), // 多値バイトフィールド(要素ごとに MIME)
    VectorArray(Vec<Vec<f32>>),      // MultiVector フィールドのトークンベクトル
}
}

DataValue は一般的な型に対して From<T> を実装しているため、.into() 変換が使用できます。

#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::DataValue;

let v: DataValue = "hello".into();       // Text
let v: DataValue = 42i64.into();         // Int64
let v: DataValue = 3.14f64.into();       // Float64
let v: DataValue = true.into();          // Bool
let v: DataValue = vec![0.1f32, 0.2].into(); // Vector
}

予約フィールド

アンダースコア(_)で始まるフィールド名はすべてエンジンの予約領域です。 そのような名前のフィールドを宣言すると、インデックス作成時に拒否されます。 _ で始まるキーを含むドキュメントも投入時にエラーとなるため、 いずれにせよそのフィールドが値を持つことはありません。 言語バインディングではさらに早く、フィールド追加メソッド(add_*_field / add*Field)が そのような名前を渡した時点で拒否します。正確なエラー文と、 この検査より前に作成したインデックスの扱いは フィールド命名規則 を参照してください。

唯一許可される _ プレフィックス名は、次に説明する _id システムフィールドです。

_id — 外部ドキュメント ID

put_document / add_document に渡された外部ドキュメント ID を格納します。 KeywordAnalyzer(完全一致)でインデクシングされ、自動的に挿入されるため スキーマに追加する必要はありません。

動的スキーマ

Laurus はスキーマに宣言されていないフィールドを含むドキュメントも受け付けます。 挙動は Schema に設定する DynamicFieldPolicy で制御します:

ポリシー未宣言フィールドに対する挙動
Strictわかりやすいエラーメッセージで投入を拒否する
Dynamic(デフォルト)値から型を推論してスキーマへ自動追加する
Ignore未宣言フィールドを静かに破棄し、他のフィールドはインデックスする

Builder でポリシーを設定します:

#![allow(unused)]
fn main() {
use laurus::{DynamicFieldPolicy, Schema};

let schema = Schema::builder()
    .dynamic_field_policy(DynamicFieldPolicy::Dynamic)
    .build();
}

型推論ルール(Dynamic ポリシー)

投入される値推論されるフィールド型
stringText(転置インデックス、BM25)
integerInteger(BKD tree)
floatFloat(BKD tree)
boolBoolean
整数の配列(例: [1, 2, 3])Integer(multi_valued = true)
浮動小数点を含む数値配列(例: [1.5, 2.0, 3])Float(multi_valued = true)
緯度キー(lat または latitude)と経度キー(lon、lng、longitude のいずれか)を持ち、値が範囲内の objectGeo
数値の x、y、z の 3 キーをすべて持つ object(有限値、ECEF メートル単位)Geo3d
地理 object の配列(例: [{"lat": 35.6, "lon": 139.7}, ...])Geo(multi_valued = true)
x/y/z object の配列Geo3d(multi_valued = true)
全要素が RFC 3339 である文字列の配列(例: ["2024-01-01T00:00:00Z", "2024-06-15T21:00:00+09:00"])DateTime(multi_valued = true)
それ以外の文字列の配列(例: ["rust", "search"])Text(multi_valued = true)
ブール値の配列(例: [true, false])Boolean(multi_valued = true)
data キー(base64 エンコードされた文字列)と任意の mime キーを持つ objectBytes 値
同じ長さの空でない数値配列の配列(例: [[0.1, 0.2], [0.3, 0.4]])VectorArray 値(トークンベクトル)

ベクトルフィールド(Hnsw / Flat / Ivf / MultiVector)は 自動推論の対象外です。 次元数・距離関数・embedder の設定は値だけからは復元できないため、 スキーマへ明示的に宣言してください。未宣言のフィールドにトークンベクトルが来た場合は 拒否されます。Bytes の値は上記の {data, mime} オブジェクト形式から解析できるようになりましたが、未宣言の フィールドに Bytes の値が来た場合は、ベクトルフィールドと同様に 自動登録されず拒否されます(Bytes フィールドは常に明示的な宣言が 必要です)。なお、同一 object 内で 2D 用キー(lat / lon)、 3D 用キー(x / y / z)、Bytes 用キー(data)のうち複数を 混在させた場合は曖昧と判定してエラーとなります。いずれか一方の 形式のみ使用してください。

多値(multi-valued)フィールド

Integer と Float フィールドは multi_valued = true を指定することで、 1 ドキュメントに複数の値を保持できます。範囲クエリはいずれかの値が条件を満たせばマッチ する Lucene 流の挙動で、スコアは constant(マッチ件数による加点なし)です。

Geo と Geo3d フィールドも同様に multi_valued = true を指定できます。 多値地理フィールドの各ポイントは、それぞれ独立したエントリとしてフィールドの BKD tree(Geo は 2 次元、Geo3d は 3 次元)に登録されます。そのため距離クエリと バウンディングボックスクエリ(Geo3d では nearest クエリも)は、いずれかのポイントが 条件を満たせばドキュメントにマッチします。ドキュメントは 1 回だけ報告され、 スコアは条件を満たすポイントのうち最も近いもの(2D バウンディングボックスクエリでは ボックス中心に最も近いポイント)で決まります。Dynamic ポリシーでは、2D object と 3D object を 1 つの配列に混在させた場合、および数値と object を混在させた場合は エラーになります。各要素には単一ポイントと同じ範囲検証が適用されます。

DateTime フィールドも同様に multi_valued = true を指定できます(Issue #1184)。 多値日時フィールドの各時刻(instant)は、それぞれ独立した 1 次元のエントリとして フィールドの BKD tree に登録されます。そのため DateTimeRangeQuery、このフィールドに対する NumericRangeQuery、および seen_at:[2024-06-01 TO 2024-12-31] のような DSL の日付範囲は、 いずれかの時刻が範囲内にあればドキュメントにマッチします(Lucene 流の “any match”、 スコアは constant でマッチ件数による加点なし)。複数の時刻がマッチしてもドキュメントは 1 回だけ報告され、秒未満の時刻も尊重されます(境界は小数秒としてエンコードされます)。 Dynamic ポリシーでは、全要素が RFC 3339 文字列である配列は多値 DateTime と推論されます。 ここで日時として認識されるのは RFC 3339 のみで(クエリ DSL が受け付けるオフセットなし・日付のみの形式は 対象外)、RFC 3339 でない要素を含む文字列配列は代わりに多値 Text と推論されます(Issue #1175)—— エラーにはなりません。なお非対称性に注意してください: 単一の RFC 3339 文字列は従来どおり Text と推論されます(既存のテキストフィールドの 挙動を変えないため)が、RFC 3339 文字列の配列は多値 DateTime と推論されます。 単一値の DateTime フィールドが必要な場合はスキーマで明示的に宣言してください。

Boolean フィールドも同様に multi_valued = true を指定できます(Issue #1180)。 ただし仕組みは他の多値型とは異なり、Boolean フィールドは BKD ポイントを持ちません。 多値ブールフィールドの各要素は、それぞれ独立した "true" / "false" の term posting としてインデックスされます。そのため TermQuery や flags:true のような DSL の term クエリは、 いずれかの要素がクエリの値と等しければドキュメントにマッチします(Lucene 流の “any match”)。 複数の要素が同じ値でも、その term についてドキュメントは 1 回だけ報告されます (posting はドキュメント・term ごとに集約されます)。Boolean フィールドが範囲クエリの対象外である点は 従来どおりです。通常の term posting であるため、要素の重複は Lucene と同じように BM25 スコアに影響します: [true, true] は term frequency 2・フィールド長 2 の posting 1 件になるため、flags:true に対して [true] より高くスコアリングされ、[true, false] は長さ正規化(length normalization)のため [true] よりわずかに低くスコアリングされます。重複排除は行わず、term クエリの constant スコアリングも ありません(constant スコアの term クエリは Issue #580 で追跡しています)。 Dynamic ポリシーでは、全要素がブール値である JSON 配列(例: [true, false])は多値 Boolean と 推論されます。[true, 1] のような混在配列は、既存の「配列フィールドは数値のみ」という趣旨のエラーで 拒否されます。スカラーとの非対称性に注意してください: 単一の "true" 文字列は宣言済みの Boolean フィールドに対して Bool に変換され、["true", "false"] のような文字列配列も宣言済みの多値 Boolean フィールドに送れば同じ規則で要素ごとにパースされます。しかし未宣言のフィールドでは、この配列は Boolean ではなく多値 Text と推論されます(Issue #1175)—— ブールとして推論させたい配列には JSON のブール値を使ってください。 既存の Boolean フィールドで multi_valued を有効にする変更は metadata-only です。無効にする変更は、 フィールドが stored なら再インデックス(Reindex)が必要で、stored: false なら Destructive になります —— BKD ベースの型と異なり、再構築の元になるポイントツリーがなく、保存された値しかないためです。

Text フィールドも同様に multi_valued = true を指定できます(Issue #1175)。あわせて position_increment_gap オプション(デフォルト 100。Lucene / Elasticsearch と同じ値)が追加されています。 多値テキストフィールドの各要素はフィールドの analyzer でそれぞれ独立に解析され、全要素のトークンは **1 本の昇順の位置列(position sequence)**に追記されます: 要素 n + 1 の最初のトークンは、要素 n の 最後のトークンから position_increment_gap 個後ろの位置に置かれます。gap は要素ごとに加算され、 トークンを 1 つも生成しない要素に対しても加算されます。以下の挙動はすべてこの付番から導かれます:

  • TermQuery(または tags:rust のような DSL の term)は、いずれかの要素がタームを含めばドキュメントにマッチします(Lucene 流の “any match”)。
  • PhraseQuery は、slop が position_increment_gap 以上でない限り 2 つの要素をまたぐことができません —— 閾値はちょうど slop == gap です。デフォルトの gap では、["hello world", "foo bar"] はフレーズ "world foo" に slop 0〜99 ではマッチせず、slop 100 でマッチします。スパンクエリ(SpanNearQuery)も同じ保護を受けます。
  • gap を 0 にすると要素を連結したものとして付番されるため、フレーズは要素境界をまたいでマッチします。gap が「0 から付番し直す」という意味になることはありません。
  • 複数の要素にまたがるタームの重複は、他の多値型と同じくヒット数ではなく term frequency(したがって BM25 スコア)を増やします。フィールド長はトークン数ではなく position の数です —— 別のトークンにスタックされたシノニム(position_increment = 0)はそのトークンの position を共有し、重ねて数えられません —— そのため gap 自体が BM25 の長さ正規化(length normalization)を膨らませることはありません。
  • 2 語以上のフレーズクエリが機能するには位置が保存されている必要があります(term_vectors: true。デフォルト)。位置がなければ検索はクエリエラーで拒否され、これは多値・単一値のどちらのフィールドでも同じです。keyword フィールドに対する tags:"lang/rust" のように 1 トークンに解析される引用符付きの値は Term の一致なので、位置を必要としません。

多値テキストフィールドのハイライトは要素ごとに行われます —— マッチした要素だけがフラグメントを生成し、 フラグメントが 2 つの要素をまたぐことはありません。詳細は ハイライト を参照してください。 Dynamic ポリシーでは、全要素が文字列である JSON 配列は、全要素が RFC 3339 としてパースできれば多値 DateTime、 そうでなければ多値 Text と推論されます(例: ["rust", "search"])。単一の文字列は従来どおり Text と推論され、 日時と判定されることはありません。既存の Text フィールドで multi_valued を有効にする変更は metadata-only です。 無効にする変更は、フィールドが stored なら再インデックス(Reindex)が必要で、stored: false なら Destructive になります —— Boolean と同じく、再構築の元になる BKD tree がないためです。 position_increment_gap の変更は、フィールドが位置を保存している(term_vectors: true)場合に再インデックスが 必要です(stored なら Reindex、そうでなければ Destructive)。既存の posting は古い gap で付番されているためです。 term_vectors が false なら gap は観測できないため、変更は metadata-only です。

Bytes フィールドも同様に multi_valued = true を指定できます(Issue #1176)。ただし 仕組みは他のどの多値型とも異なり、Boolean よりもさらに徹底しています —— BytesOption には indexed フラグ自体が存在せず、Bytes の値はそもそもレキシカルインデックスされません。 そのため BKD ポイントも term posting も存在せず、multi_valued には “any match” のクエリ 意味論が一切ありません。単に保存時の形と取り込み時の許容個数を変えるだけです。 DataValue::BytesArray は Vec<(Vec<u8>, Option<String>)> で、他の *Array variant が使う 素の Vec<T> とは異なり、各要素がスカラーの Bytes(Vec<u8>, Option<String>) と全く同じ形で 独自の MIME タイプを持ちます。Bytes の値はスカラーでも配列でも、Dynamic ポリシーの下で 未宣言のフィールドに対して推論されることは決してありません(前述の 型推論ルール(Dynamic ポリシー)を参照)。多値 Bytes フィールドは常に明示的な宣言が必要です。宣言済みのフィールドでは、単一の Bytes 値や base64 の Text 文字列は要素 1 個の配列に自動ラップされ(Text 要素はスカラーと同じ規則で base64 デコードされます)、空の数値配列([])は空のバイト値リストとして受理されます。 既存の Bytes フィールドで multi_valued を有効にする変更は metadata-only です。無効にする 変更は、フィールドが stored なら再インデックス(Reindex)が必要で、stored: false なら Destructive になります —— Boolean や Text と同じく、再構築の元になるポイントツリーも posting もなく、保存された値しかないためです。

ファセット集計はすべての多値型を要素ごとに展開します(Issue #1187): 整数・浮動小数点・ブール・ 日時・テキストの各要素がそれぞれ独立したファセット値になり(/ を含むテキスト要素は階層パスになります)、 要素が重複していてもドキュメントごとに 1 回だけ数えられます。地理座標とバイト列の配列はファセットの 対象外で何も寄与しません。要素の文字列形式は ファセット を参照してください。

多値フィールドに単一値を送った場合は要素 1 個の配列に自動ラップされます。 逆に単一値フィールドに配列を送ると、暗黙の切り捨てではなくエラーになります (エラーメッセージは multi_valued = true でフィールドを宣言するよう案内します)。 多値地理・多値日時・多値ブール・多値テキストフィールドに空配列を送った場合は受理され、 ポイント・時刻・term を持たないフィールドになります(どの空間クエリ・範囲クエリ・term クエリ・フレーズクエリにもマッチしません)。 多値バイトフィールドに空配列を送った場合も同様に受理され、単に空リストとして保存されます —— Bytes フィールドはそもそもクエリの対象にならないため、マッチしないクエリというもの自体が存在しません。

多値地理・多値日時・多値ブール・多値テキスト・多値バイトの値を含むセグメントは新しい stored-field 型タグを使用するため、 これらの機能より前のビルドでは読み込めません。フォーマットのバージョンは上げていないため、 古いリーダーはデータを誤読するのではなく、明示的なエラーで失敗します。 保存される多値日時はマイクロ秒精度(時刻ごとに 1 つの i64 Unix マイクロ秒。マイクロ秒未満の桁は 切り捨て)で保持され、単一値の DateTime は完全な精度を保ちます。 保存される多値ブールは要素ごとに 1 バイト(ビットパックなし)で書き込まれます。 保存される多値テキストは、要素数に続けて各文字列を長さプレフィックス付きで書き込みます (本体は単一値のテキストと同じ形式です)。保存される多値バイトは、要素数に続けて各要素を スカラーの Bytes 値と同じ(MIME、続けてデータ)の長さプレフィックス付き形式で書き込みます (空の MIME 文字列は None を意味します)。

型衝突

既に宣言されているフィールドに別の型の値が到着した場合、Laurus は 宣言された型への変換を試みます。変換ルールは以下の通りです:

宣言型受け取った値結果
IntegerInt64そのまま格納
IntegerFloat64(3.14)3 へ切り捨て(情報損失あり — 下の警告を参照)
IntegerText("42")42 としてパース
IntegerText("abc")エラー
FloatInt64f64 に拡張
FloatText("3.14")パース
BooleanInt64(0) / Int64(1)false / true
BooleanText("true"/"false")大文字小文字を無視してパース
Text任意のスカラー値文字列化
BytesText(s)base64 としてデコード(s が不正な base64 ならエラー)
Geo / Geo3d対応 variant 以外エラー
Geo / Geo3d(単一値)GeoArray / GeoEcefArrayエラー(multi_valued = true を宣言する)
Geo / Geo3d(multi_valued = true)GeoArray / GeoEcefArrayそのまま格納
Geo / Geo3d(multi_valued = true)対応する単一ポイント要素 1 個の配列にラップ
Geo / Geo3d(multi_valued = true)空の数値配列([])空のポイントリスト
DateTime(単一値)DateTimeArrayエラー(multi_valued = true を宣言する)
DateTime(multi_valued = true)DateTimeArrayそのまま格納
DateTime(multi_valued = true)単一の DateTime または RFC 3339 の Text要素 1 個の配列にラップ
DateTime(multi_valued = true)空の数値配列([])空の時刻リスト
DateTime(multi_valued = true)上記以外エラー
Boolean(単一値)BoolArrayエラー(multi_valued = true を宣言する)
Boolean(multi_valued = true)BoolArrayそのまま格納
Boolean(multi_valued = true)単一の Bool、Int64(0) / Int64(1)、または Text("true"/"false")要素 1 個の配列にラップ(スカラーと同じ規則)
Boolean(multi_valued = true)Int64Array同じ 0 / 1 の規則で要素ごとに変換([0, 1] → [false, true]。[0, 2] は「0 と 1 のみ受け付ける」エラー)
Boolean(multi_valued = true)空の数値配列([])空のブールリスト(どの term クエリにもマッチしない)
Boolean(multi_valued = true)上記以外エラー
Integer / Float(multi_valued = true)BoolArray要素ごとに 0 / 1 へ拡張(単一値の Integer / Float は multi_valued = true を案内するエラーで拒否)
Text(単一値)TextArrayエラー(multi_valued = true を宣言する)
Text(multi_valued = true)TextArrayそのまま格納
Text(multi_valued = true)単一の Text、Int64、Float64、Bool、または DateTime文字列化して要素 1 個の配列にラップ(スカラーと同じ規則)
Text(multi_valued = true)Int64Array / Float64Array / BoolArray / DateTimeArray要素ごとに文字列化(日時は RFC 3339)
Text(multi_valued = true)Null または空の数値配列([])空の文字列リスト(どの term クエリ・フレーズクエリにもマッチしない)
Text(multi_valued = true)上記以外(地理配列・ベクトル・バイト列)エラー
Integer / Float / Boolean / DateTime(multi_valued = true)TextArrayスカラーの Text と同じ規則で要素ごとにパース(["1", "2"] → [1, 2]。不正な要素はその要素を示すエラー)。単一値の Integer / Float / Boolean / DateTime は multi_valued = true を案内するエラーで拒否
Bytes(単一値)BytesArrayエラー(multi_valued = true を宣言する)
Bytes(multi_valued = true)BytesArrayそのまま格納
Bytes(multi_valued = true)単一の Bytes または base64 の Text要素 1 個の配列にラップ(スカラーと同じ規則)
Bytes(multi_valued = true)TextArray各要素を base64 としてデコード(スカラーと同じ規則を要素ごとに適用。MIME は常に None)
Bytes(multi_valued = true)空の数値配列([])空のバイト値リスト
Bytes(multi_valued = true)上記以外エラー
ベクトル(Hnsw/Flat/Ivf)Text または Bytesフィールドの embedder にそのまま渡す
ベクトル(Hnsw/Flat/Ivf)数値配列要素ごとに f32 へキャスト
ベクトル(Hnsw/Flat/Ivf)VectorArrayエラー(トークンベクトルには MultiVector フィールドが必要)
MultiVectorフィールドの次元を持つ有限値のベクトル 1〜8,192 本の VectorArrayそのまま格納
MultiVectorそれ以外(単一のベクトル、平坦な数値配列、テキスト)エラー

変換エラーの扱いはポリシーに依存します:

  • Strict: ただちにエラーを返す
  • Dynamic: エラーを返す(安全とみなせる変換はこの層ですべて試し切っている)
  • Ignore: 該当フィールドのみ破棄し、他のフィールドはインデックスする

⚠️ 警告: 静かな情報損失が発生しうる

いくつかの変換は、エラーを返さずに情報を失います:

  • Integer フィールドは受け取った Float 値を切り捨てます (3.14 → 3、-3.9 → -3)。投入は成功します
  • Float フィールドは f64 仮数部に収まらない巨大な整数で精度を失う可能性があります
  • Text フィールドはスカラーを文字列化して受け入れます(元の型情報は消えます)
  • Ignore は非互換なフィールドを静かに捨てます

データの正確性を優先したい場合は、DynamicFieldPolicy::Strict を使う(あるいは必要なフィールドをすべて事前に宣言する)ことを推奨します。 Dynamic ポリシーは「ドキュメントを投入できる」ことを「入力データを 1 ビットも失わない」ことより優先します。

Query DSL と未宣言フィールド

スキーマが確定した後、クエリパーサは field:value 句で参照されるフィールドが すべてスキーマに存在することを検証します。titl:hello(title:hello の打ち間違い) のような typo は、結果が無言で空になるのではなく、明確なパースエラーとして返ります。

動的フィールド管理

稼働中のエンジンに対して、フィールドの追加・削除・変更を動的に行えます。

フィールドの追加

Engine::add_field() を使用すると、稼働中のエンジンにフィールドを動的に追加できます。

Lexical フィールドの追加

let updated_schema = engine.add_field(
    "category",
    FieldOption::Text(TextOption::default()),
).await?;

Vector フィールドの追加

let updated_schema = engine.add_field(
    "embedding",
    FieldOption::Flat(FlatOption::default().dimension(384)),
).await?;

既存のドキュメントには影響がありません(新しいフィールドの値が存在しないだけです)。

フィールドの削除

Engine::delete_field() を使用すると、稼働中のエンジンからフィールドを動的に削除できます。

let updated_schema = engine.delete_field("category").await?;

フィールド削除時の動作は以下の通りです。

  • スキーマからフィールド定義が削除されます。
  • default_fields に含まれている場合、そこからも削除されます。
  • フィールドに紐づくアナライザーおよびエンベッダーの登録が解除されます。
  • 既にインデックスされたデータは物理的に残りますが、スキーマから削除されたフィールドにはアクセスできなくなります。

フィールドの変更

Engine::update_field() を使用すると、既存フィールドの型・オプションを稼働中のエンジンに対して変更できます。

let outcome = engine.update_field(
    "title",
    FieldOption::Text(TextOption::default().analyzer("english")),
    UpdateFieldOptions { reindex: true, ..Default::default() },
).await?;

変更内容は次の3種類に分類され、outcome.classification で確認できます。

  • MetadataOnly(メタデータのみ): 既存データへの影響がなく、常に適用されます(例: HNSW の default_ef_search)。
  • Reindex(再構築が必要): 保存済みの元データから再構築が可能です(例: text フィールドの analyzer 変更、term_vectors が有効な text フィールドの position_increment_gap 変更、indexed: false → true、HNSW の m/ef_construction 変更)。
  • Destructive(破壊的変更): 元データから再構築できず、既存データを破棄します(例: ベクトルフィールドの dimension/embedder/distance 変更、stored: false フィールドの型変更、stored: false な Boolean / Text / Bytes フィールドの multi_valued を無効にする変更)。

Reindex と Destructive は、明示的に UpdateFieldOptions { reindex: true, .. } を指定しない限り拒否されます(再構築に時間がかかる、あるいはデータを失うため、意図しない実行を防ぐオプトイン方式です)。

Destructive な変更を適用すると、対象フィールド名がスキーマの pending_reindex に記録されます。これは Solr のように「スキーマとインデックスが静かに食い違う」状態を避けるための可視化機構で、GetSchema / laurus get schema から確認できます。既存データを失ったフィールドが分かるので、必要に応じてドキュメントの再投入で解消してください。

UpdateFieldOptions { dry_run: true, .. } を指定すると、実際には何も適用せずに分類結果だけを確認できます。

共通の注意事項

Engine::builder().persist_schema_with(hook) でスキーマ永続化フックを設定していれば、 add_field/delete_field/update_field は返却前に自らそのフックを呼び出してスキーマを永続化します (laurus-cli と laurus-server はどちらもこのフックで schema.toml への書き出しを 行っています)。フックを設定していない場合は、従来どおり返却された Schema を 呼び出し側で永続化する必要があります(例: schema.toml への書き出し)。

スキーマ設計のヒント

  1. Lexical フィールドと Vector フィールドを分離する — フィールドは Lexical か Vector のいずれかであり、両方にはなりません。ハイブリッド検索には、別々のフィールドを作成してください(例: テキスト用に body、ベクトル用に body_vec)。

  2. 完全一致フィールドには KeywordAnalyzer を使用する — カテゴリ、ステータス、タグフィールドは PerFieldAnalyzer 経由で KeywordAnalyzer を使用し、トークン化を避けてください。

  3. 適切なベクトルインデックスを選択する — ほとんどの場合は HNSW、小規模データセットには Flat、非常に大規模なデータセットには IVF を使用してください。詳細は Vector インデクシングを参照。

  4. デフォルトフィールドを設定する — Query DSL を使用する場合、デフォルトフィールドを設定することで、ユーザーは body:hello の代わりに hello と記述できます。

  5. スキーマジェネレータを使用する — laurus create schema を実行して、手書きの代わりにインタラクティブにスキーマ TOML ファイルを構築できます。詳細は CLI コマンドを参照。